一章、入学

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「また、つまらぬものを切ってしまった……」 ミラがそう言い終わると同時に、ドール君の機能が停止した。 恐らく、ある一定のダメージを与えれば一時的に機能停止するようになっているのだろう。 ……てか、なんだよその決めゼリフは……。 「……ミラって凄いんだな」 少々呆れつつ、こちらに戻ってきたミラに対して俺は言った。 まあ、実際凄かったからな。正直、学院の生徒の実力を甘く見ていた。 「へっへーん!お姉さんの実力を思い知ったか!」 Vサインしながら自慢げに言うミラ。 だが、俺はそのVサインよりもミラが持っている魔装具の方が気になる。 「珍しい武器だな、それ」 「ん?この子のことかな?」 「ああ。今まで双刃剣型なんて使う武芸者はあまり見たことがない」 扱いづらい武器だしな。好んで使うのはよっぽどスタイルが合っている場合くらいだろう。 「へー、やっぱこの武器は珍しいのかー。最初シエルにも言われたもんなー」 「誰でも言うと思いますよ。アタシはミラさん以外でその武器を使っている武芸者を見たことないです」 「ほっほー……、なら私はレアな存在だね!」 言いながら、ミラはクルクルと双刃剣を器用に回してみせた。
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