覚悟

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千絵が言ってるのは、こんな格好で一人で戻り、もし坂本がヘマをして途中で斬られでもすれば自分が疑われる。 ということだった。 それはただの口実で、本当は別の狙いがあるのだが…。 とにかく、千絵も坂本も一歩も退かなかった為、結局二人で長州藩邸に行くことにした。 「しかし、どうして薩摩が長州の者を斬ったんじゃろうか?」 遺体を背負う坂本が、無意識に口にした。 「まあ、断定はできないですが…」 この時期、長州と薩摩は友好関係にあり、同じ尊皇攘夷の志の下、お互いに協力していた。 「まあ、それも表向きには…ですよ」 「どういう事じゃ?」 「そうか。坂本さんはご存じないですよね…」 坂本に言うべきか一瞬迷ったが、千絵はまだ、坂本の事を剣術家としてしか知らなかった為、気にしないで言う事にした。 「ここだけの話、実は裏で薩摩が会津と手を結んで、長州を京都の政権から追い出そうとする計画があるんです」 「何!?」 突然の告白に驚くあまり、そのまま遺体を落としそうになる坂本。 しかし、なんとか踏ん張った。 「何でじゃ!? 薩摩と長州といや、お互いに支え合う友好藩の筈じゃ! 会津藩が長州を追い出すなら分かるが、何で薩摩が長州を追い出す必要がある!?」 坂本の指摘はごもっともだった。 だが、
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