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「中岡慎太郎…?」
どこかで聞いたことのあるような名前に、首をかしげる千絵。
(確か、新聞屋の永岡さんが、その土佐人の名前を言ってたような…)
またしても頭の中に疑問が渦巻く千絵。
「中岡慎太郎っちゅうのはの、ワシが江戸の千葉道場にいる時に、武市と一緒の道場におった男じゃ。
前に武市の紹介で会ったことがある。
歳のわりに思慮深いやつでの。
もしかしたら、千絵さんと合うかもしれんの」
千絵の呟きに、坂本はケラケラ笑いながら答える。
「いや、それはどういう意味ですか?」
長州藩邸に着く前のやり取りといい、今の言葉といい、そんなに私は18歳に思えないのか。
と思っている千絵と、坂本、吉田の前に、その中岡慎太郎がやってきた。
「吉田さん。一体何の用ですか?」
部屋に入ってくるなり、そんな高飛車な事を言う中岡。
(何だこの人…)
千絵が思ったのもつかの間。
「おう中岡!ひさしぶりじゃの。
元気にしとったか?」
という坂本の言葉に、
「誰だお前は…」
と、中岡が返した。
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