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(おいっ。変わり身早っ!
てか私には無いんかいっ)
と、千絵は心の片隅で一人つっこんだ。
そう思う千絵も、さっきまで吉田を人質にとろう等という、ご無礼では済まされない事を考えていたのだが…。
まあ、それは置いといて。
千絵は、目の前を見る。
「まあまあ、吉田さん。
誰にでも勘違いはある。
だから、もう頭を上げてくれや」
「いやはや。面目ない」
「ははは。気にせんといてくれ。
それより中岡!
おんしはワシの事を今の今まで本気で忘れとったんか!?」
「吠えるな坂本。
誰にでも勘違いはあるんだろう?」
「何じゃと!?」
目の前に広がるのは、さっきと比べれば和やかな光景なんだろうが、
それよりも、千絵には中岡の反応が気になった。
(何だか、わざとあんな事を言って、私たちの反応を詮索してたような…)
もちろん、千絵と坂本が追い込まれる状況を楽しんでいたのもあるだろうが、
それより、千絵や坂本が何を知っているのか探っていたような…そんな気がした。
千絵の目の前にいる中岡は、微笑を浮かべながら坂本をからかっている。
(まあ、私の思い違いならそれまでか…)
意外と要心深い千絵は、そんな事を思いながら、目の前の三人を見ていた。
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