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夜道で男女が二人きり。
普通は、色っぽい展開になるのだろうが、この二人は違った。
いきなり近づきながら抜刀した中岡に、千絵も刀を抜いた。
まっすぐ首をはらおうとした刀を、千絵は下にしゃがんで避けた。
そして中岡の顎を下から打とうとしたが、中岡は少し後ろに体をのけ反ってそれを避けた。
少し間合いをとり、刀を構え直す二人。
すると中岡は刀を引くと、今度は首を突こうとする。
その動きは、この前の岡田の突きに似ていた。
そんな中岡の刀を、千絵は岡田の時と同じように右に弾くと、そのまま中岡の懐に突進した。
普通なら、弾かれた時点で勝負はほぼ決まる。
現に岡田の時も、千絵は肘鉄を喰らわす事ができた。
しかし中岡はその時、突進してきた千絵の腹を蹴飛ばした。
「ぐっ…!」
もろにみぞおちに喰らった千絵は、2メートルくらい後方に飛ばされたが、なんとか踏ん張って刀を構える。
すると中岡は、ふいに刀を下げる。
「なかなかやるな」
刀を片手にぶら下げたまま、冷静な目で千絵を見る中岡。
そんな中岡に、千絵は姿勢を崩さずに問いかける。
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