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「俺もようやく時間が出来たから、明日にでも寺田屋に行こうかと思ったんだが…。
まさか、お前のほうから来てくれるとはな」
「はは」
ただ単に、遺体を届けただけなのだが…。
それよりも、疑問が浮かんだ。
「それでもし、私があなたの刀を避けられなかったら、どうするつもりだったんですか?」
さっきのは、斬りあいを演じた、という割にはかなり力のこもった斬撃だった。
「まあ、あの程度の平突きを避けられないような奴だったら、岡田の件もあるしな。
三条河原にでも首を晒そうとしただろうよ」
「………あ、そう」
物騒な事を普通に言う中岡に、恐怖を通り越して呆れしか感じない千絵でした。
「まあ、そんな事より。
お前は本当に、たかだか拾ってもらっただけの坂本の為に、岡田を倒したのか?」
「はぁ。まあ、色々と勘違いはありましたが、大体そんなところです。
まあ、それと…」
「何だ?」
「後は、岡田さんにも言った事ですが…」
千絵は今まで人斬りや、それに近い人を数多く見てきた。
その多くは過去の自分の罪を後悔し、中には夢にまで殺した相手が出てくる人もいた。
「人斬りの末路はどれも悲惨なものですよ。
だから、そういった人を放っとく事ができなかっただけです」
そう、しんみりした表情で話したら、中岡は
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