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「馬鹿か、お前は…」
と、何の悪気もなくサラリと言った。
「少しは見込みのある奴かと思ったが、そんな綺麗事を言う趣味があったとは…」
うえっ、と今にも吐き出しそうな顔でそう言った中岡に、千絵は色んな意味でキレた。
「失礼なっ!
んな顔するなら最初から聞くなっ!!」
「吠えるな。俺はただ、意見を言ったまでだ」
「あぁそうですか」
確かに、そう言われたらその通りだと思うし、この考えも見方によればただの押し付けしかない。
そうは思うのだが…
(面と向かって言われたら、やっぱり腹立つ…)
この土佐人とは合わないな。
なんて思っていると、中岡に聞きたかった事を思い出した。
「中岡さん、私らの思考が合わないのは別として。
それより、次は私の質問に答えてください」
何だかんだで、寺田屋に世話になっている以上、坂本は別として、お登勢やお龍を巻き込みたくはない。
だったら寺田屋に居座るな。というツッコミは別にして…。
とにかく、前置きが長くなったが、ようやく土佐勤王党の事が聞ける。
そう思い質問を口にしようとした時、中岡の口が先に動いた。
「待て。俺の用はまだ終わってない。
肝心な事がまだだ」
「肝心な事?」
「ああ、そうだ」
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