31人が本棚に入れています
本棚に追加
序章
「うん……ん……」
「気が付いたか?」
「此処は……うわぁ!?」
視界の先の方では、大地が見える。彼はその光景に驚いた。
「……飛んでいるのか?」
「今、私のペガサスの上にいる」
バサンバサン……!
耳を澄ますと羽音が聞こえる。
「ペガサス?……くっ!」
体中に激痛が走った。
「まだ動かない方が良い……君は瀕死の重傷を追っている」
「お前は……?」
「私はコリンだ」
「天賭ける…天空の……貴公子……?」
「その名は辞めてくれないか?恥ずかしいものがある。ところで、すまないねぇ…君を、君の部隊に帰してあげたかったんだが、私は国に帰らなければならない。途中、とある大司祭の元に降ろすから、其処で治療を受けると良い」
「何故俺を助けた?」
「さあ何故だろうね……まあただの気まぐれってやつかな。だから気にしないでくれ」
「気まぐれか……それにお前はあの場にいたのだろ?なのに何故戦列に加わっていなかったのだ?」
もしコリンが戦列にいたら、ダレス奪還は容易にできなかった筈、その事からコリンがいなかった事に伺えた。
「私の部隊ならともかく、初めての部隊を指揮しろと言われても無理があるからな……高見の見物をさせて貰っていた」
「だからと言ってダレスが奪還されれば、お前に取って不都合だろ?」
「やけにつっかかるねぇ…君に取っては悪くないだろ?……まあ実のところ、奪還されて良かったと思っているんだがね」
「はっ!?」
「罪滅ぼしってやつかな……それより、もう少し休んだ方が良い……ついたら起こすから」
「ああ……すまない。そうさせて貰う……」
そう応えた彼は深い眠りに落ちた……。
最初のコメントを投稿しよう!