序章

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序章

「うん……ん……」 「気が付いたか?」 「此処は……うわぁ!?」 視界の先の方では、大地が見える。彼はその光景に驚いた。 「……飛んでいるのか?」 「今、私のペガサスの上にいる」 バサンバサン……! 耳を澄ますと羽音が聞こえる。 「ペガサス?……くっ!」 体中に激痛が走った。 「まだ動かない方が良い……君は瀕死の重傷を追っている」 「お前は……?」 「私はコリンだ」 「天賭ける…天空の……貴公子……?」 「その名は辞めてくれないか?恥ずかしいものがある。ところで、すまないねぇ…君を、君の部隊に帰してあげたかったんだが、私は国に帰らなければならない。途中、とある大司祭の元に降ろすから、其処で治療を受けると良い」 「何故俺を助けた?」 「さあ何故だろうね……まあただの気まぐれってやつかな。だから気にしないでくれ」 「気まぐれか……それにお前はあの場にいたのだろ?なのに何故戦列に加わっていなかったのだ?」 もしコリンが戦列にいたら、ダレス奪還は容易にできなかった筈、その事からコリンがいなかった事に伺えた。 「私の部隊ならともかく、初めての部隊を指揮しろと言われても無理があるからな……高見の見物をさせて貰っていた」 「だからと言ってダレスが奪還されれば、お前に取って不都合だろ?」 「やけにつっかかるねぇ…君に取っては悪くないだろ?……まあ実のところ、奪還されて良かったと思っているんだがね」 「はっ!?」 「罪滅ぼしってやつかな……それより、もう少し休んだ方が良い……ついたら起こすから」 「ああ……すまない。そうさせて貰う……」 そう応えた彼は深い眠りに落ちた……。
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