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雑草は家の周りだけ、誰かの意図的にきれいに刈られていた為に、土を耕すところから始められたので、意外に楽だった。
掘っては返し、掘っては返しを繰り返し、柔らかい土へと変えていく。
そうして、本に書いてあった通りに山を造り、そこに
「種を。」
と思ったときに、種がないことに気がついた。
丁度その時に、またしても学校帰りのジャンがやってくるのだった。
「どうしたの?これは。もしかして畑?」
「やぁジャン、そうなんだ。この本を見て、畑を造ったところまでは良かったんだけど、肝心の種がないんだよ。」
あぁ、そういうことなら。
とジャンは小屋の中にあるお祖父さんが昔集めた野菜の種の入ったケースを取り出した。
「昔はね、ここにそれと同じような畑があって、それがお祖父ちゃんの自慢だったんだって。俺は見たこと無いからわからないんだけど、そのときの野菜の種が、はい。残ってたよ。でも、まだ大丈夫かな?」
と言って手渡された種は、ゴマほどの小さな物ばかりで、本当にこれから絵にある野菜は出来るのだろうかと不思議に思った。
さて、そんなことをしていれば、もうあっという間に時間は過ぎてジャンの帰らなければいけない時間が来てしまった。
そして今日もまたセカセカと走ってジャンは帰って行った。
ルシファーは、今日もその背中を消えるまで眺め、見えなくなると小屋の中に戻り、いすに座ると眠ることにした。
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