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そっと唇が離れて、コウが口を開いた。
「でもね、帰らないといけないの。皆きっと心配してるわ。だから‥‥」
その言葉を、自分の舌でペロッとコウを舐めて止めた。
「明日、僕が連れて行くよ。好きな子にそんな悲しい顔をしてほしくないから。」
「レヴィ!ありがとう!」
と言って今度は軽いキスをした。またしてもそれに頬を染めるレヴィだった。
朝、レヴィは少女の歌声で目が覚める。
『蒼く澄んだ空は果てしなく君と僕を包んでいる
僕らがどんなに離れようともこの空のどこかに僕らはいる
僕らは繋がっているんだ何かしらの縁で
だからいつかきっとまた逢える
君が僕を、僕が君を愛し続ける限り
蒼く澄んだ空は果てしなく君と僕を包んでいる
まるでロミオとジュリエットを包んでいたように
僕らは離れていても同じ時を過ごしているよ』
「レヴィ、起きたの?じゃあ、早速‥‥」
と言いかけて止まった。そして、
「あら、レヴィ泣いてるの?」
と言うと、レヴィも
「コウだって、泣いてる。」
と返した。
「え?あ、本当だ。どうしたのかしら、早く戻れて嬉しいはずなのにな。」
「きっとまた会えるよね。」
「えぇ、絶対会えるわ。いつか必ず。」
「じゃあ‥行こうか。」
「うん。」
そしてまたコウがレヴィの背中にまたがり、テイジー国のあの有名な海岸にやってきた。ちょうど台風が過ぎたばかりだったおかげで、レヴィを見た者は誰一人いなかった。
それから、最後のキスを交わし、それぞれのいるべき場所へと戻っていった。
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