●海のソラ●

11/18
前へ
/110ページ
次へ
そっと唇が離れて、コウが口を開いた。 「でもね、帰らないといけないの。皆きっと心配してるわ。だから‥‥」 その言葉を、自分の舌でペロッとコウを舐めて止めた。 「明日、僕が連れて行くよ。好きな子にそんな悲しい顔をしてほしくないから。」 「レヴィ!ありがとう!」 と言って今度は軽いキスをした。またしてもそれに頬を染めるレヴィだった。 朝、レヴィは少女の歌声で目が覚める。 『蒼く澄んだ空は果てしなく君と僕を包んでいる 僕らがどんなに離れようともこの空のどこかに僕らはいる 僕らは繋がっているんだ何かしらの縁で だからいつかきっとまた逢える 君が僕を、僕が君を愛し続ける限り 蒼く澄んだ空は果てしなく君と僕を包んでいる まるでロミオとジュリエットを包んでいたように 僕らは離れていても同じ時を過ごしているよ』 「レヴィ、起きたの?じゃあ、早速‥‥」 と言いかけて止まった。そして、 「あら、レヴィ泣いてるの?」 と言うと、レヴィも 「コウだって、泣いてる。」 と返した。 「え?あ、本当だ。どうしたのかしら、早く戻れて嬉しいはずなのにな。」 「きっとまた会えるよね。」 「えぇ、絶対会えるわ。いつか必ず。」 「じゃあ‥行こうか。」 「うん。」 そしてまたコウがレヴィの背中にまたがり、テイジー国のあの有名な海岸にやってきた。ちょうど台風が過ぎたばかりだったおかげで、レヴィを見た者は誰一人いなかった。 それから、最後のキスを交わし、それぞれのいるべき場所へと戻っていった。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加