●海のソラ●

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その答えはすぐに出た。 ルシファーの見守る中、レヴィの体が、雷が落ちたように光り、何キロとあった体もどんどんと小さくなっていった。そして最後には、レヴィの体は人間のそれに変わらなくなった。 「私が出来るのはここまでだ。」 と言ったルシファーがその場を離れると、途端に海が荒れだした。全世界中の深海が、自分の影を無くし、安定できなくなったのだ。これこそがルシファーの危惧していた天変地異になりかねない海の暴走。結界で守られていたはずの蒼瀬の都も、瞬く間に崩れていく。結界の力が弱くなってしまったこともほんの少しは関係しているが、大部分の理由はそうではない。それほどまでに嵐が大きいのだ。 これほどとは、驚きを隠せないレヴィは自分の力でなんとか止めようと試みたが、レヴィにはもう1パーセントも力が残っていなかった。だから、どんなに魔法を出そうとしても何も変わらない。嵐は止まる気配がないどころか、ますます大きくなっていく。もはや打つ術もなく、とうとうレヴィも流された。初めて味わう、死の感覚。そして、海がいうことを聞かない現実。 ――もう、ダメかもしれない。 と思った時に、ふと初めて逢った人間を思い出した。とうの昔に忘れていた、育て親のルカだ。蒼瀬の都で一番の実力を持っていたルカ。だから、なんとなしだ。ルカの名前を叫んだ。 「ルカー!助けてー!!」
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