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森の奥深く、これは現世と呼ばれる世界での話。丸太で出来た小屋は、昔ジャンのお祖父さんが住んでいたところだった。
しかし今、そのお祖父さんはこの世には居らず、この小屋に住む者もいなくなっていた。元々、鬱蒼と生い茂る森の中だ。近寄る者は殆どおらず、ほんの偶に親戚だったり友達が遊びに来るものの、週に三、四日と頻繁に顔を出しに来るのはジャンだけだった。
だというのに、お祖父さんが死んでからというもの、ここに来る人などもういなくなった。
ジャンでさえも思い出したときに―それが決まって十三日とお祖父さんが亡くなった月命日だったことは本人は知らないのだが―小屋の掃除に行くようになっていた。
そんなある日。今日は四月十三日の水曜日。ジャンは、また何か思い出したかのように家を出た。
当然親には、
「どこ行くの?」
と聞かれたが
「なんか、お祖父ちゃんに会いたくなって。」
とジャンが言えば、そういえばそうだったか、と両親は納得した。ジャンの親は、普段、両親が共働きで自由にさせてやれない分、この日だけは学校を休むことを良しとした。
それから、ジャンがやって来たのは、やはりお祖父さんの丸太小屋で、ジャンは着いて早々に小屋の中の掃除を始めた。
一ヶ月も放っておけば、そこら中にホコリがたまるし、部屋の隅には蜘蛛の巣も見える。窓を開けてから、またそこから始めるのかと溜め息混じりに腕をまくり、はたきを持って、右へ左へとホコリをはたく。
そうすれば上の方にあったホコリは下に落ちるか、窓の外へと逃げて行った。
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