破綻

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22才で一つ上の昌也と結婚して三年。「結婚したい!」と言ってくれる人と一緒になれば幸せになれるかなぁ などと 甘い考えで籍を入れたことに後悔するまで一年もかからなかった。 『釣った魚に餌はやらない』と言う言葉を身を持って経験する事になる。 「金かかるから 必ず弁当つくれよ!」 「言っておくが 出前や外食なんて許さないからな!」 「仕事してたって 家の事はキチンとできるはずだぞ!」 昌也の亭主関白ぶった言葉を毎日のように聞かされた。 看護師をしている理佳は 夜勤もこなすフルタイム勤務だったが 昌也はまるで気遣うそぶりがなかった。それどころか 結婚して一年足らずで仕事を辞めてしまい わずかばかりの退職金も 自分でどうにかしてしまったらしい。 「新しい仕事 みつかったの?」 別に 怒る訳でもなく聞いた言葉に 昌也の表情がこわばる。 「なんだ!? イヤミか!? 俺の神経逆撫でするつもりか!探してることぐらいわかってるんだろう!!」 「どうなったか 聞いただけでしょ…」と言いかけた理佳の言葉を打ち消すように 昌也は怒鳴り始める。 「お前のそう言う態度がイヤミだっていうんだよ!!」 そう言い放って 昌也は家を出て行った。 もうすでに 半年は仕事をしていない。 …なんとかしなきゃ… …私が あの人を変えなくちゃ… 次第に理佳の精神は追い詰められていた。
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