破綻

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仕事をしない昌也を養うには 充分な収入が理佳にはあったが 昼間自由な時間をもて余していた昌也は 出会い系サイトにはまっていた。 理佳も気付いてはいたが 病んだ心ではまともに思考回路がはたらかなかった。 …私が悪いから そんなことするのよ… ろくでなしの夫を振り向かせようと自分を磨こうと間違った方向を向いてしまった理佳は 高額なエステに通い続けていた。 …綺麗になれば… そんな生活がやがて家計を圧迫し始める。 気が付けば借金が膨れ上がっていた。普段の理佳なら家計もキチンと管理できていたのに 心の乱れは何もかも乱して行った。 「だめだ… 足りない…」 いつの間にか 生活すらままならなくなっていた。 「夜も アルバイトしよう…」 水商売の経験があった理佳は知り合いのスナックに相談して 週に3日バイトさせてもらうことにした。 もちろん 昼間 看護師 夜はカウンターと二足のわらじを(基本的に 副業はだめだが)履くことにした。 しかし 大きな問題があった。 昌也は自分が無職だというのに 理佳の副業は大反対していたからだ。 もともと束縛が強く 理佳が妹と出かけることや 実家にいる事すら良く思っていない程だった。 状況を知っている後輩が 飲み会で「私が引き止めたって 直接言い訳しますから もう少しいてくださいよ」と 言ってくれたのに 「今後 二度とこんな真似しないでくれな!!」と 直接言われ 本気で後輩と喧嘩しかけたこともあった。 「なんで夜も働く必要があるんだよ!」 昌也は思った通りの言葉を返してきた。 「足りないのよ… 家賃だって 今 ボーナスまで待ってもらってるのよ」 「だから なんで夜なんだよ!」 「昼間は辞めないから…」 結局 昌也も知っている店だった事が幸いし しぶしぶ了解を得ることができた。 昌也は外面がいい方なので 律儀に店のママに「理佳を頼みます」と連絡を入れていた。 状況を知っているママからすれば 呆れる話だったようだ。 「全く… 自分のせいだって思って無いんじゃない 昌也は!」 吐き捨てるように理佳に電話の内容を教えてくれた。
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