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プシューーーッ…
キングコングがスカしっ屁でもしたんじゃねぇかってくらいの音を出しながら電車のドアが開いた。
『ここが中央駅かぁ…』
ボストンバック片手に辺りを見渡しながら龍臥(リュウガ)は電車から駅のホームへと下り立った。
ダボダボとした太い白ズボンに安全靴を履いた18歳。
上半身には白いタンクトップに黒い皮ジャン姿。
短髪の黒髪をボリボリと掻きながら目が透けないほど濃いサングラスを内ポケから取り出し掛けると、龍臥は駅の改札口に向かって歩き出した。
改札を抜けるとすぐ出口になっていて、目の前にコンビニがあった。
(おっ。えぇとこにコンビニあるやん。ちょっと中で道教えてもらおっと。)
コンビニの前まで行った時だった…
『気安く触んじゃねぇよテメェ!!』
コンビニ横の駐車場の方から威勢のいい女の声が聞こえてきた。
気になった龍臥は自動ドアの前で進行方向を変えると、好奇心を胸に駐車場の方へと歩き出した。
比較的小さめの駐車場は車もほとんど停まってはおらず、ガラリとしてる。
そんな駐車場の奥の壁側に女が一人立っていて、その周りを3人の不良らしき男達が囲んでいた…。
男達は3人が3人共スキンヘッドで黒い皮ジャンを着ていて、背中には赤く大きな星のマーク。
その星のマークの中央に《死》という縁起でもない文字が書かれていた。
『おい流華(ルカ)。うちの頭領の福沢(フクザワ)さんがお前連れて来いって言ってんだよ!!大人しく一緒に来いや!!』
『だからアタシは福沢の女になる気なんかねぇって言ってんだろ!理解力ねぇのかよテメェ等!!』
赤茶色の髪をなびかせながら流華は男の手を振り払った…
『テメェ流華!!理解力ねぇとか誰に言ってんだコラ!!福沢さんの狙ってる女じゃなかったらさらって犯してんぞクソアマが!』
バチーンッ!!
一人の男の平手打ちで流華が駐車場の壁までフッ飛んだ。
すかさず別の男が流華の赤茶色の長い髪を鷲掴みにすると、隣に停めてある黒いワゴン車に引きずり込もうと引っ張る…
『い…ってぇな!!放せよクソ野郎っ!』
髪を鷲掴みにしてる男の手を、流華は両手で押さえながら引きずり込まれないように踏ん張って堪えていた。
『オイそこの三バカトリオ!!女相手になにしてんねんコラ!!』
成り行きとは言え、見過ごせない性格の龍臥は我慢出来ず本能的に声を発した。
男達の動きが止まり、一斉に龍臥の方へと振り返った。
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