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-ブォンッ!!-
福沢の大振りの拳をかわす。
避けるのと同時に放たれた龍臥の右ストレートが福沢の顔面に入りよろめく。
『っしゃオラァーッ!!』
-ドスドスドスドスドス!!-
それに追い討ちをかけるかの如く、福沢の土手っ腹に容赦なく打ち込まれる猛虎連打。
…が、次の瞬間…福沢の両手が龍臥の首を絞め、そのままゆっくりと持ち上げる。
『貴様の拳なぞ…ワシの鋼鉄のボディーに通じるわけないじゃろが!!』
鋼鉄…と言うよりは明らかにただの贅肉なのだが、福沢はあくまで鋼鉄と言い切った。
『ぐっ…。は…放せ…』
地面から龍臥の足が離れ、バタバタともがいている。
(く…苦しい…息が…)
危うく意識が飛び掛けたその時…。
-ズバァーンッ!!-
突如福沢の横っ面に涼の跳び蹴りが炸裂した。
不意を付かれた福沢は、龍臥の首を絞めつける手を放し、フッ飛んだ。
…が、やはり福沢は踏みとどまり倒れなかった。
『ガハッ!!ゲホゲホッ!!』
方膝をつきむせりながらも、遮断されていた酸素を掻きむしるように肺に取り込む龍臥。
-ズパーンッ!!-
『ぐあ!!』
その龍臥の顔面をも、涼の蹴りによって弾き上げられた。
『龍ぅーっ!!』
『龍臥ぁ!!』
『タンクトップぅーっ!!』
口々に叫びながら流華と銀介と乃愛が駆けつけた。
(この豚ニワトリめ…タンクトップはねぇやろ…)
心で思いながら体を起こした龍臥が、手の甲で血を拭う。
『銀介。二人を連れて逃げろ』
『でもよ龍臥…』
『いいから逃げろ!!』
銀介の肩を借り、龍臥は立ち上がる。
あちらこちらでスキンヘッド軍団とスーツ軍団がぶつかり合う中、龍臥達の前方では福沢と涼の壮絶な殴り合いが繰り広げられていた。
『同じ北町の人間なのに…。なんで争ってばかりなのよぉ…』
悔しそうに流華が呟いた。
立ち上がった龍臥は、そっと流華の頭に手を乗せる。
『大丈夫や流華。この北町…俺が統一して一つにまとめてみせっからょ…』
クシャクシャっと流華の頭を撫でた龍臥は、福沢と涼がド突き合う危険エリアへと向かい歩き出した。
流華の願いを背に、龍臥の拳がギュッと握り締められた。
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