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(ぐ…。まるでボーリングの玉で殴られたみてぇな衝撃やなクソ)
まだ立てずにいる龍臥にドスドスと音を立てて近付いて来る福沢。
『ガハハハハッ(笑)もう終わりかのぉ?ワシをもっと楽しませてくれや龍臥ぁ』
ついにへたり込む龍臥の前まで来た福沢は、自慢の怪力で龍臥を持ち上げた。
『うわ!!ば…コラおろせや豚ゴリラ!!』
頭上高く掲げ上げた福沢は、勢いよく龍臥をブン投げた。
-ガシャンッ!!-
-ドサッ!!-
宙を舞った龍臥は、そのまま倉庫の壁に叩きつけられ、地面に落下した。
『準備運動にもなりゃせんわい!!…さてと、次は貴様じゃのぉ~馬の骨ぇ!!』
振り向いた福沢の視線の先には、腕組みをしながらアクビをしている白装束の男が暇そうにしていた。
『貴様ぁ…すぐにアクビが出ねぇくらいガッツリ目ぇ覚まさせたるわい!!』
白装束の男のマイペースな行動が、福沢にはバカにしているかのようにしか見えず、顔を赤らめて激怒している。
再びドスドスと地響きを立てながら白装束の方へ歩き出す…が、突如白装束の男は福沢に向けて片手を突き出すと、手の甲で犬でも追い払うような素振りを見せた。
『おぃおぃ…、勘弁してょ~豚さん。…君の相手は俺じゃないっしょ♪』
アクビ後の涙をうっすら浮かべながら白装束が言い放つと、突然福沢の広い背中に龍臥のドロップキックが炸裂した。
さすがの福沢も不意をつかれ、オマケに後ろからの衝撃に慣れておらず、顔面からコンクリートへと叩きつけられた。
『ハァ…ハァ…。油断禁物やでぇ豚ゴリラァ!!』
まだふらつく足を踏ん張りながら龍臥は立ち上がると、福沢ものそりと巨体を起こした。
『貴様ぁ…ぶっ殺す!!』
踏み込んだ福沢の大振りストレートを素早く避けると、回し蹴りを福沢の横っ面に叩き込む。
多少よろめいた福沢だったが、やはり倒れない。
さすが贅肉を鋼鉄と言い張るだけあって…かなりタフである。
すかさず立て続けに龍臥の右ストレートが福沢の顔面へ、左フックが横っ面へと打ち込まれた。
『そんなデコピンみたいな拳が…このワシに効くかぁーーーっ!!』
福沢は、それでも倒れず仁王立ちである。
(チッ…この化け物めが!!)
龍臥は踵を返すと、福沢に背を向けて一目散に走り出した。
『貴様龍臥ぁ!!敵前逃亡かゴラァーッ!!』
福沢は空気が割れんばかりの大声で怒鳴った。
…が、龍臥は薄暗い闇の奥へと消えて行った。
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