三つ巴の壮絶バトル

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  すでに北町を賭けて涼と白装束のタイマンが始まった時から、周囲のブルーバードメンバーもデススター軍団も殴り合いをそっちのけで全員が固唾を飲んで注目していた。 北町の流れが代わり、後々にも語り継がれるであろう歴史的なタイマンなのである。 『ゴラァーッ龍臥ぁ!!逃げずに戻って来んかぁーーーぃ!!』 龍臥の消えて言った暗闇に向かって福沢が怒鳴る。 静まりかえっている倉庫内に、落雷のような福沢の怒声が響き渡り、壁に反響して二重にも三重にも聞こえた。 すでに外も日が落ちきり暗闇なのであろう。 開いているハズの鉄扉さぇ、目視出来ないほどである。 -その時- 暗闇の奥、目では確認出来ぬほど遠くの方で龍臥の声がした。 『豚沢程度のゴリラから俺が逃げるわけないやろが…。見せたるわい…、歴史を塗り替える俺の必殺奥義をよ…』 言葉が途切れたその瞬間、遠くの方から走り出す音がした。 -ダダダダダダダダ…- その足音は次第に大きくなり、福沢目掛けて迫って来る。 うっすらと走り来る龍臥の姿が福沢にもようやく見えて来た。 福沢はゆっくりと両の拳を上げると、迫り来る龍臥へ向けて身構える。 全速力なのだろう。 電光石火の如く、物凄いスピードで向かって来る龍臥の姿がグングン近くなる。 『ひ~っさぁーーーーーーっつ!!!!』 福沢の正面、10メートルほど先から龍臥が大声で「必殺」と叫んだ。 周りに散らばる両チームの兵隊全てが目を見開いて注目した。 身構える福沢の目の前まで来た龍臥は、その猛突進の状態のまま拳を大きく振りかぶると、勢いに乗せ力任せに振り切った。 『パーーーーーーーーーーーーンチッ!!』 自信満々の声に乗せて繰り出した龍臥の拳。 『そのままやんけぇーーーーーーーっ!!』 福沢が技の名前にツッコミを入れた瞬間、龍臥の拳が顔面をえぐり取るほどの勢いでメリ込んだ。 『ぐがぁぁぁあ゙ーーーっ!!』 福沢を殴り飛ばしたものの、猛突進の反動が止め切れない龍臥が勢いのままコンクリートの地べたに転がった。 -ズザザザザザァーッ!!- 全身をのけ反りながら滑り飛ばされた福沢は、5メートルほど先で止まった。 福沢はまだ立っていた。 『ぐぅ…き、貴様ぁ…』  
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