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「────!」
うすぼんやりとする意識の中。誰かの声が聞こえる。
視界は真っ黒。
なんにも見えない。
「──────!───!」
……なんて言ってるんだ?。良く聴こえない。
「な─し──で──!!───!」
……梨で?
いや、そりゃあリンゴか梨かって言われたら梨だけど……。
「な─死んで──よ!」
……死んで?
誰か死んだのか?
「なんで死んでんだよ!!茶葉木!」
………茶葉木?
俺の家族の誰かが死んだのか?じゃあ誰が?ってか今の声は一緒に夏祭りに行った中田太郎君じゃないか。
とりあえず、誰の死かを知るために俺は重たい瞼を開けた。
そして、目に映ったのは白い空間だった。
といっても、どこかの部屋らしくただ内装が白を基準としているだけだが。
ついでに目の前には無人のベッド。
「茶葉木ィ……。」
中田太郎君の声がして、振り向いた。
そこには、一つの白いベッドを囲むように祭りの時一緒だった友人五人と両親、10歳の妹、医者みたいな格好をしたオッサンがいた。
それぞれ泣いていたり、俯<ウツム>いていたり、ベッドに横たわる誰かに必死に話しかけていたりしている。
……ちょっと待て。さっき『茶葉木』って言ったよな?
でも茶葉木一家は俺を含め妹も両親も今ここで生きてるぞ?
じゃあ、誰だ?そこにいるのは……。
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