夢で教えてくれた大惨事

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翌日、予定通りフランクは飛行場へと向かった。だが、朝、ちょっと手間取って飛行場へ着いたのは搭乗時間に間に合うか間に合わないかという時間になってしまった。 「サンフランシスコ行きの飛行機に乗られるお客様はお急ぎ下さい。」と、場内アナウンスが聞こえる。 フランクもスーツケース片手に走って飛行機へと向かう。どうやらサンフランシスコ行きの、この飛行機に乗るのは彼が最後らしい。ぎりぎりで間に合った。 飛行機へ接続してある階段を駆け上りながら「一段・ニ段・・」と、特に意味はなかったが、階段の数を数えながら登って行った。階段は全部で13段あった。そして最後の13段目を登りきった時、その飛行機のスチュワーデスが、奥の方から何の気なしにちょっと顔をのぞかせた。 その瞬間、フランクとスチュワーデスはたまたま目があってしまった。が・・!そのスチュワーデスの顔を見た時、フランクは「あっ!!」と声をあげた。昨日の夢の中に出てきた、あの女だ。なぜ、このスチュワーデスが僕の夢の中に・・!? びっくりしたフランクは思わず手に持っていたスーツケースを落としてしまい、スーツケースは階段を転がり落ちた。とてもじゃないが飛行機に乗る気にならなくなったフランクは階段を駆け下りて、そのままケースを拾うとそうそうに家に引き返してしまった。 仕事には若干の支障をきたすが、イヤな予感の方を優先させたのだ。だが、その日の夜、妻と一緒にテレビを見ていたフランクはその判断が正しかったことを思い知った。 テレビのニュースによると、彼が今日乗るはずだった飛行機がエンジントラブルを起こして墜落し、乗員乗客全員が死亡したというのだ。 事件を知って妻と二人でゾッとした。もしあのまま飛行機に乗っていたら・・。しかしあのスチュワーデスはなぜフランクの夢の中に?フランクに「飛行機には乗るな」と警告してくれたのだろうか・・。 乗員乗客全員が死亡、ということは、もちろんあのスチュワーデスもその中に含まれている。フランクに事件を予告してくれた、当のスチュワーデスは自分の運命を夢にも知らず、そのまま事故に巻き込まれてしまったとは極めて皮肉な結果である。
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