12人が本棚に入れています
本棚に追加
/217ページ
思い上がった人間どもめ。
三カ月前に噴火したばかりの霧島山、新燃岳の火口口を見ていると、まさしくそんな言葉が聞こえてきそうな気になる。
火口口を覗く眠主党議員、鳥山由紀夫も、その火山活動を目で見て、背中にぞっと冷や汗の流れるのを感じた。
「まさしく自然の脅威だね」
烏山議員が、もう笑うしかない、と云った体で、誰に話す事なく呟いた。
彼は今回、政府公認の極秘の調査団をまとめて、ここ宮崎県にある新燃岳へ来ていた。
団員は地理学の権威、岩黒博士。
登山家、竹中洋山。
他、烏山議員のSPを含め、十数人程度だった。
岩黒博士は、足下のマグマの発する熱で滝の様に吹き出す汗も拭かず、烏山議員の呟きを鼻で笑った。
「脅威ですと。
そんな陳腐な小説にでも出そうな台詞で、片付けないで頂きたいものですな。
烏山議員、間もなくですぞ。
間もなくコイツは二度目の大噴火を起こしますぞ。
先の報告書に出した様に、コイツの破壊力は宮崎県内だけでは収まらん。
最初のコメントを投稿しよう!