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総理、早急に避難対象地区を半径5キロと定め、発表されるべきかと思われます」
総理に進言する蓮邦議員の横顔を見つめた枝村官房長官は、口を開けたまま何度となく頷いて見せた。
そして彼女の話が終わると慌てて、下階で彼を待つ、マスコミ達の元へ、駆け出そうとした。
「待てよ、枝村」
彼を呼び止めたのは、年長の仙石副官房長官だ。
仙石はその役職名に「副」が付いているものの、キャリアは官房長官の枝村とは比べものにならない程長い。
長身の仙石はその長い足をテーブルの上に組み、自ら入れた焼酎の水割りに口を付けた後、続けた。
「耳の穴あ、かっぽじってよく聞けや。
避難距離、半径5キロにして、その補償金、てめえが払うのかよ?バカ枝」
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