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マリアは思わず目を反らした。
男に、その顔を見られない様、髪で隠した。
「お二人とも落ち着きなされ」
不意に声を掛けられ振り返ると、そこには頭を剃り上げ袈裟を纏った、70くらいの老いた和尚がいた。
和尚は、2人の泥だらけの子供を連れていた。
彼は歩み寄ると、背負っていた袋からペットボトルに入った水を取り出し、迷いなく男に渡した。
男はペットボトルを引ったくる様に奪うと、天を仰いで口にしたが、水はその割れた腹からぼとぼとと地面にこぼれた。
マリアはその光景を見て後ずさる。
「待ちなされ」
和尚は男を見ながらマリアを制した。
そして彼女の前にしゃがむとその靴を履いていない足を見て言った。
「それでは痛かろう」
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