『恋多き、』

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すこしだけ背伸びをすると本の間から君が見える。 私は気付かれないように難しそうな厚い背表紙に目を通しつつ、見る。 本に落とされた視線 睫毛、女の子みたいに長い。 その白い肌に触れる特権を持っている人が、いる。 証拠に花弁がちらり、 首筋に。 悔しいわけではないの。 君を手に入れたいのは確かだけど。 そう、隣に誰かがいる君を私は手に入れたい。 だれかに注がれた想いが私の方へ傾くとき 私の欲求は満たされるの。
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