『俺たちの蘇生術』

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家路をゆっくりたどりながらまたいつもの口喧嘩が始まった。 「もうやだ……」 横に並ぶ彼女はそれだけ言って押し黙った。 おい、なんだよ今の。何とか言えよ。 そういっても口を開かない。 目元が若干赤い。 なんだよ、泣きたいのはこっちだってのに。 今の沈黙はどういう意味だったんだろう? そろそろ潮時ってやつか? やっぱり俺を理解してくれる人なんていないんだ。 「何考えてるか分からない」 それは君が俺を理解してないからだろ? 君が本当に俺を好きなら何考えてるのかくらいわかるはず。 「じゃあ私が今何考えてるのかわかるっていうの?」 「……もう、別れよ?」 俺は言葉を失った。 ……というフリをする。 本当は向こうも俺もわかってる。 何回目だろうかこのやり取り。 同じようなセリフを言って結局最後の最後、大事なものを失うかもしれないという絶望感にしばらく浸ったあと、また恋を再燃させるんだ。 .
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