『凡』

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ある程度のことは何となくこなせる。 勉強然り、人づきあい然り。 でもそのせいで”特別”とはかなり遠い存在である僕は、どうしてもそれに強い憧れをもってしまう。 なんでもできる秀才とか。 運動能力が優れてる奴とか。 僕の隣にはいつもへらへらしているやつがいる。 こいつは友人ではあるが、よく授業サボるから、お菓子を食べてるか、遊んでいるところくらいしか見たことがない。 もちろん、成績も最下位だ。 でも毎日学校には来ている。 そんな不真面目なこいつに僕はよく「何のために学校に来てるんだ?」って尋ねるが、そのたび同じ返答が返ってくる。 「俺学校すきだから。」 そんなに学校が好きなら真面目に授業受けろよと思うけど、それより先にちょっと悔しい。と思ってしまった。 日常に何も感じない僕と、毎日が楽しいと言うこいつ。 こいつも秀才とかではないけど特別な存在なんだろう。 そしてそこまで考えて、僕は他人に優劣をつけることしかできない完璧な凡人だと気付いてしまった。
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