190人が本棚に入れています
本棚に追加
朝になり、父と母は車で避難所に妹を探しに行くと言い出しました。
「待って!なおも連絡とれないんだけど!」
「なおは男だ!大丈夫だから!」
そう言って父は出ていきました。
私は、ただ不安で子供達と二階から外を眺めました。
外は黒いヘドロと魚と瓦礫がいっぱいでしたが、人がチラチラと歩いているのが見えました。
私は急いで外に出ると、泥で道がいっぱいで歩くのが大変で、長靴がなかったので、ロングブーツでグッチゃグッチゃと道路まで歩いて行きました。
すぐ近くで通行止めに自衛隊の人が立っていたので、
「〇〇の情報教えてください!」とお願いしました。
なおは〇〇という海に近い運送業で働いていたからです。
「まだ情報が把握できてませんので」
確かそう言われたと思います。
とにかく道行く人に聞いてみましたが、あっちの方はヒドイらしいよ。
などという話ばかりで、状況は把握できませんでした。
しばらくすると、父と母が帰ってきましたが妹がいませんでした。
「ゆうは?!」
「避難所いろいろ回ったんだけど、マクドナルドの人達はいなかった」と言っていました。
私はとにかくどうしたらいいのか分からず、とりあえず父と母は店の片付けを始めました。
私はじっとしていられず、下の子をおんぶして娘をつれて、なおから聞いていた、近くに住む同じ会社の人のアパートを探しに出かけました。
少し行くと、どこかから
「ママー!ママー!」
と声が聞こえて、見てみると妹のゆうでした。
「ゆう!無事だったんだね!良かった!」
ゆうはマックの制服が半袖だったので、誰かのコートとジャージを借りて歩いてきたようでした。
「保育園に避難してたんだけど、寒いし、とにかく帰りたかったから山歩いて帰ってきたよぅ」と言っていました。
最初のコメントを投稿しよう!