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「何これ?」
あの後、ひとまず名刺を受け取った俺は、仕事に戻った。
夜10時に仕事が終わると、駅前で丁度淳平に会って家に泊めてやることになった。
「何ってナニ?」
「この名刺。」
「名刺?」
「このclubってホストクラブ?」
それは、さっきバイト先で話しかけられたホストからもらった名刺だ。
「あぁ、バイト先に来てた客がホストで、俺にそこでバイトしないかって。」
「えっ?なに、お前ホストやんの?」
「やるかよ。つか、俺未成年だよ?できねーだろ。」
「…そっかぁ。でも、ホストってもうかるよな。」
「…そうなの?」
「売れればね。最近読んだ漫画がホストの話しでさ~。でも、北村にはホストは無理だろ。」
「なんでだよ?」
そう言われると、少しイラッとする。
「だって、客にお金使わせるために、自分が彼女だって思わせるような態度取らなきゃだよ?」
「…例えば?」
「手繋いだり、抱きしめたり?そんくらいならいいけど、キスしたりやったりしなきゃな場合も出てくるみたいだよ。」
「は?!やるの?」
「すっげぇ大金使ってくれる客を、つなぎ止める手段みたいな?」
うっわ~。
じゃあ、今日会ったホストもそうゆうことしてんのか?
「北村が会ったホストって、ブランド品とかいっぱい持ってなかった?」
そう言えば…
「持ってたかも。」
「それの大半が、客からの貢ぎ物だぜ?」
「えっ?だって、あれ…下手したら100万単位のブランド品…」
『キミなら、月100近くは稼げるんじゃねぇかな。』
俺がバイトで入って、100万近く稼げるなら、あの人たちは月何百万って稼いでるってことか。
「そんなん持ってたら、金銭感覚おかしくなりそう。」
「まぁ、北村はホストやるなら恋愛してみないと。」
「なんで?」
「恋愛しなきゃ、色恋とか分かんないだろ?」
まぁ、確かに。
俺には一生できそうにない仕事だなぁ。
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