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プロローグ
学校に来ればいつだって、彼の名前を聞かない日はなかった。
興味なんてなかった。
女子がキャーキャー騒ぐ相手を好きになるほど馬鹿じゃない。
彼が通ると空気が一変する。まるで、芸能人に会ったように。
少し癖っ毛の茶色い髪と校則違反のピアス。
ダルそうに緩められたネクタイに、踵の潰された上履き。
整った顔と真っ直ぐに人を捕らえるような瞳がたくさんの女の子を虜にする。
でも、あたしだけは捕らわれない。
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