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大輔の家には、すでに俺の荷物が届いてて、荷物と一緒に『勇二をお願い』と短い手紙が添えられていた。
その日、俺は写真に映る母さんの顔を黒く塗りつぶし、写真の裏に『裏切り者』と殴り書きをした。
それを見た伯母さんが、悲しそうな顔をしたけど、それが母さんにそっくりで、俺は真っ直ぐ見られなかった。
伯母さんの娘の由貴さんも、どことなく母さんに似てる気がした。
そう思うと、俺は大輔にしか懐くことができなかったんだ。
女が怖い訳じゃない。
母さんに似た女が怖いんだ。
見捨てられることが、怖いんだ。
今まで、彼女がいなかったわけじゃない。
告白されれば、付き合ってみたこともある。
だけど、好きになれたことは1度もなかった。
…だから、言ってしまえば明日香は俺の初恋なんだ。
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