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それから俺は、大輔に内緒で新聞配達を始めた。
中学生で出来るバイトで、コツコツ貯金を増やして、引っ越しの金を貯めてたんだ。
だけど、それが大輔にバレた。
「なんで新聞配達なんか?」
夕飯の後、大輔と伯母さん、由貴さんの3人に囲まれた俺は、仕方なく思ってることを話した。
「…出たいんだ。この家。」
「え?」
「高校に行ったら、一人暮らしする。」
「勇二、お前何言ってんの?」
「もう決めたから。」
「勇二、せめて寮のある高校にしたら?」
由貴さんにそう言われたけど、他人と一緒の生活なんて無理だ。
「やだよ。他人と一緒の生活なんて。」
「だったら、ここにいろよ。」
大輔の声は少しイライラしていた。
「ここだって…」
「俺らは他人じゃねーよ!!」
バンッと、机を叩く大輔が、初めて俺を怒鳴りつけた。
「俺はお前のこと、弟だと思って接してたんだけど、お前は違うのか?」
大輔の目が、真っ直ぐ俺を捉えた。
「俺は、お前の兄貴になれてなかったか?」
…思ってなかった訳じゃない。
兄貴がいたら、大輔みたいな感じなのかなって、いつも考えてた。
でも…
「兄貴みたいだって思わなかった訳ないだろ。だけど、もう嫌なんだよ!!」
今度は、俺が大きな声を出した。
伯母さんと由貴さんが、ビクッとするのが分かった。
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