secret9.

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それからの俺は、本格的に勉強を始めた。 特待生になるためには、何としても首席を目指さなきゃならない。 「最近、勉強ばっかだな。」 休みの日に家に来た淳平が、俺の部屋で雑誌を読みながら呟いた。 「あぁ。」 そう言えば、淳平にまだ言ってないんだよな。 一人暮らしのことと、受験のこと。 「なんで?まだ俺ら中2だし、受験勉強にしては早いよな? しかも、塾も通い始めたって?」 「…実はさ俺、高校入ったら一人暮らしすることに決めたんだ。」 「はっ?」 驚いた淳平の手から、バサッと雑誌が落ちた。 バスケ関連の雑誌が落ちて、広がったページにはマイケルジョーダンがデカデカと載っていた。 「…なんでまた?」 淳平の質問に、持っていたシャーペンを置いた俺は、腕を伸ばして「ん~」と目一杯伸びをする。 「俺さぁ、この家にいるの結構窮屈なんだよね。 俺を残していなくなった母親のこと、恨んでるくせにさ、母親にそっくりの伯母さんに世話になってんのとか。 すっげぇ嫌だし、いつか見放されんじゃねぇかって。 伯母さん自身は、そんなこと有り得ないって言ってくれるけど、実際母親に見捨てられた俺にとって、女が怖い。」 「…なにそれ。女性恐怖症?」 「ん~、そこまでではないけど。まぁ、親父が死んで、あっさり他の男に乗り換えた母親のこと思うと、恋愛とか糞くらえって思うけど。」 「はは、それじゃお前恋愛できねーじゃん。」 「まぁ、したいとも思わないけど。」 そう言って俺は、手持ち無沙汰で目の前のシャーペンをノートの上でコロコロと転がした。  
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