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「で、まぁ、この家を出ようって決めて、新聞配達を始めたわけよ。」
「え、お前、バイトしてんの?」
「うん、引っ越し費用をね。あ、ちゃんと学校にも話してあるから大丈夫だけど。」
「すげぇな。」
淳平は感心しながら、落ちた雑誌を広い上げた。
「けどさ、新聞配達つっても中学生だから、そんなバイト代もらえないし。
引っ越し費用くらいにしかならないから、学費まで稼げないなって思って。
だから、特待生目指そうって決めたんだ。」
「特待生?学費免除になるってゆうアレ?」
「そう。一人暮らしする代わりに、大輔の就職が決まった海星高校を受験しろって言われてさ。
あそこ偏差値高いし、特待生になるには相当頑張らなきゃってさ。」
「…それで猛勉強してるわけか。」
「そーゆーこと。」
淳平に全て話した俺は、再びシャーペンを握り机に向かった。
「じゃあ…俺も海星高校受けようかな。」
「え?」
淳平の言葉に、思わずシャーペンを落とした。
「俺、仲いいやつお前くらいだし。どーせなら同じ高校行こうよ。」
「淳平…」
この言葉は、正直嬉しかった。
慣れない一人暮らしをするのに、全く知らないやつしかいない学校に行くのは、すっげぇ不安だから。
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