secret9.

10/23
前へ
/283ページ
次へ
「で、まぁ、この家を出ようって決めて、新聞配達を始めたわけよ。」 「え、お前、バイトしてんの?」 「うん、引っ越し費用をね。あ、ちゃんと学校にも話してあるから大丈夫だけど。」 「すげぇな。」 淳平は感心しながら、落ちた雑誌を広い上げた。 「けどさ、新聞配達つっても中学生だから、そんなバイト代もらえないし。 引っ越し費用くらいにしかならないから、学費まで稼げないなって思って。 だから、特待生目指そうって決めたんだ。」 「特待生?学費免除になるってゆうアレ?」 「そう。一人暮らしする代わりに、大輔の就職が決まった海星高校を受験しろって言われてさ。 あそこ偏差値高いし、特待生になるには相当頑張らなきゃってさ。」 「…それで猛勉強してるわけか。」 「そーゆーこと。」 淳平に全て話した俺は、再びシャーペンを握り机に向かった。 「じゃあ…俺も海星高校受けようかな。」 「え?」 淳平の言葉に、思わずシャーペンを落とした。 「俺、仲いいやつお前くらいだし。どーせなら同じ高校行こうよ。」 「淳平…」 この言葉は、正直嬉しかった。 慣れない一人暮らしをするのに、全く知らないやつしかいない学校に行くのは、すっげぇ不安だから。  
/283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

79人が本棚に入れています
本棚に追加