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それからの俺には、休みなんてなかった。
いや、正確には俺たちか。
淳平も海星高校を受けると決めて、2人で勉強を始めたんだ。
冬休みも、春休みも、夏休みも毎日勉強。
こんなにも、勉強をしたのは初めてだった。
その甲斐あって俺たちは、海星高校に見事合格した。
もちろん、俺は首席で合格。
念願の一人暮らしを始めたと共に、学校の許可をとってカラオケでバイトを始めた。
「北村くん、このドリンク103によろしく。」
「はい」
駅前にあるカラオケボックス。
駅近にあるから、客の入りもいいし、他より割と時給もいい。
だけど…
家賃に食費、光熱費に携帯代。
週6で入れてもらっても、バイト時間は1日5~8時間。
時給は800円。
だいたい月10万くらいの給料。
家賃が4万。携帯代で1万。光熱費も全部で1万くらいって考えて、食費込みで自由に使える金は4万。
「貯金…は無理だよなぁ。」
正直、今のバイト代じゃ生活費だけでやっとだ。
「…掛け持ちすっかなぁ。」
将来的には、やっぱ高校出たら進学したいし、そうなったら学費とか掛かるし。
進学するなら、国立目指さなきゃだよな。
そしたら、予備校とかも行く必要あるだろうし。
ブツブツ独り言を喋りながら、俺は頼まれたドリンクを持って103号室をノックした。
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