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「キミ…えっと、北村くん?」
茶髪の男は、俺のネームを見てそう言った。
「…はい。」
「彼女いる?」
「…いません。」
「へー、カッコいいのに勿体無い。好きな子は?」
「いません。」
「まじで?なんで?」
「…トラウマ?」
「トラウマ?何、ひどい捨てられ方したとか?」
「…まぁ」
母親にだけど。
「いいねー。女にハマらなそうなところが向いてる。」
「…は?」
向いてる?
何にだよ。
「バイトしてるってことは、お金必要だよね?」
…何が聞きたいんだ。
「まぁ、一人暮らしなんで、生活費が。」
「へー!!一人暮らし。学生?」
「そうですけど。」
「じゃ、学校とバイトの両立でしょ?稼げなくない?」
「…ギリギリ生活できるくらいですけど。」
「お金に余裕欲しくない?貯金だってしたいでしょ?」
「まぁ、それなりに…」
「ウチでバイトしない?」
「えっ?!」
…バイト?
「…そうだな。キミなら、バイトでも月100近くは稼げるんじゃねぇかな。」
「ひゃ、ひゃくって…」
100万ってこと?
月100万って…。
ヤバくない?
危ない仕事じゃねーの?
「ま、無理強いはしないからさ、1回うちの店来てみてよ。」
「え、店?」
「ここのバイトと掛け持ちでやってもらっても構わないからさ。とりあえず、1回体験来てみなよ。
今日はまだバイト中でしょ?
名刺渡すから、気が向いたら俺の携帯に連絡して。」
そう言われて受け取った名刺には、Club lovelessと書かれている。
コレって…
まさかホストクラブ?
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