79人が本棚に入れています
本棚に追加
ピピピピピピ
「ふぁ~」
「明日香~7時よ~起きなさーい!!」
「はぁい」
寝ぼけながらも、制服に着替えるあたし、市ヶ谷明日香16歳。高校2年の5月。
可愛いセーラー服におっきな赤いリボンが魅力的で、それを理由に受けた海星高校。
受かった時は泣けるくらい嬉しかったのに、セーラー服も着なれてしまうとなんの魅力も感じなかった。
結び慣れた制服のリボン。あえて指定の物とは違うリボンを付けるのは、あたしのチョットした反抗。
セミロングで真っ直ぐな、少し茶色く傷んだ髪を、コテを使ってクルクルに巻く。
うっすら化粧をして、ほんのりグロスで唇を潤す。
これはあたしの毎日の仕事。
他の子よりも少しでいいから綺麗でいたい。
だって…
「行ってきまーす」
「明日香、ご飯は?」
「いらない!!遅刻しちゃうよ」
高校2年。
青春ド真ん中。
恋にお洒落に興味を持つお年頃。
そう、あたしは恋をしている。
「あ、」
学校の正門の前に立つ人物に気づいたあたしは、最大級の笑顔で挨拶をした。
「柏木先生おはよ~ございますっ」
「おはよ~、て、おい市ヶ谷!!そのリボン指定のやつじゃないだろ?」
「はは、堅いこと言わないの!!ピリピリしてたら老けちゃいますよ(笑)」
「誰がッ、俺まだ24だぞ」
「えー親父じゃん」
「おま、覚えてろよその言葉」
あたしが恋してる相手。
それはそう、実はこの柏木先生だったりする。
最初のコメントを投稿しよう!