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ガチャッと音を立てて開いたドアから、太陽の眩しい光があたしを照らす。
「綺麗…」
初めて来た屋上は、さっき部室で見た時よりも空が近くなったように感じられた。
「あれ、誰か寝てる…」
屋上のど真ん中で、横になって寝ている人物に気づいたあたしは、恐る恐るその人に近づいてみた。
「あ、」
声を出してしまった口を、咄嗟に両手で押さえた。
この人…確か1組の北村勇二だ。
校内1のイケメンとか言われてて、ファンクラブがあるとかないとか言われてる…。
北村勇二は、あたしの存在に気づかずスースーと気持ち良さそうに眠っていた。
女子に騒がれるだけあって、すごく綺麗な顔してる。
頬がちょっと赤くなってて…少しアルコールの匂いがした。
寝顔があまりにも綺麗で、あたしは思わずカメラのシャッターを切っていた。
「ん~~~」
寝返りを打った北村勇二に驚いて後退り、起きてしまっていないことを確認してそっと屋上から逃げ出す。
ドアを閉めようとした時、北村勇二が起き上がったのが見えて、音がならないようにソッとドアを閉める。
彼の右手にキラリと光った鍵を見た。
その瞬間、屋上の鍵を彼が持っていると気づいた。
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