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犯人は手にナイフを握り、あたりを見渡し、誰もいないか確認しているようだ。しかも、さっきからこちらばかり気にしているようで、なかなか陰からでることができない。
犯人が相田たちに背中を向けた瞬間、相田は陰から飛び出した。
「動くな!!おとなしく所持してる武器を捨てろ!」
銃を犯人に突きつけると、案外あっさりナイフを地面に落とし、頭の後ろに手をやった。
気を少し緩めると、相田は銃に込めた手の力を抜いた。
瞬間、犯人は首の後ろから素早く何かを取り出した。
「相田っ!!」
後ろから松浦に名前を呼ばれると、ズガンという鈍い音が響いた。
銃を手にした犯人は足を負傷したようで、さっき取り出したと思われる銃を地面に落としよろめきながら逃げようとする。
しかし、負傷したのは犯人だけではなかった。見ると、松浦も左肩に血がにじんでいた。どうやら相田に向かって撃った銃弾は、的がずれて松浦に当たったらしい。
「…何してん…だよ。ーッ…逃げるぞ?」
苦しそうな松浦の声に相田は振り返ると、犯人は小走りに路地裏に逃げようとしてい。
松浦が気になるが、相田は瞬時に銃を構え、犯人めがけて銃弾を放った。
銃声とともに犯人は倒れ込み、地面を張って未だに逃げようとしていた。愚かな犯人の上に、待機していた新人三人がのしかかった。そして、吉がポケットから手錠を取り出し、相手の手首にかけられた。
犯人逮捕を目の前に、相田は大きく息を吐いた。
瞬時、後ろからうめき声が聞こえた。
相田はハッと逮捕前の出来事を思い出し、負傷して壁により掛かって座る松浦のもとに駆けつけた。
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