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「人の心こそ弱く、浅はかな者はない。
邪心を持ち、人を妬み、蔑む心は…私の中にはない。」
愛良宮は、はっきりと千夜に言う。
「そなたも私に関心を持たずに……さっさとこの地より去り他を当たれ。」
「そうですね。」
千夜は、立ち上がりながら……。
「弘徽殿の女御様は、貴女の母上である芙蓉の御方を酷く憎んでおいでだ。
用心は、越した事はないですよ。」
そう言い残して、部屋を出てゆく千夜。
「母上が……あ、あるかもしれん。安倍殿頼みがあります。」
と、一抹の不安を胸に、愛良宮は安倍晴明にある事を話す。
「確かに、判りました……。御意。」
と、立ち上がり、去ってゆく安倍晴明。
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