見鬼(けんき)宮姫

13/23
前へ
/302ページ
次へ
どちらの後ろ楯は良いが男子を産んでいる。 弘徽殿の女御の方が有利。 今上帝の寵は誰よりも煌めき、愛良宮を産しも、美貌は衰えない。 宣耀殿の女御の後ろ楯もやはり強い。 千夜は一人で細く笑っていた。 弘徽殿の女御の嫉妬、妬みという心の闇。 それこそが、千夜の糧であるが……。 愛良宮の対して激しい程までの執着する理由は……。 闇を理解し、光の理解をしている人間は数少ない。 あの愛良宮はその数少ない人間である一人と、千夜は気づいた。 あの宮姫を欲する激しい気持ち……。 と、糧の弘徽殿の女御の矜持(きょうじ=プライドの事)さと闇深い心。 今は、弘徽殿の女御の願いを叶える事にした。 千夜は、密かに弘徽殿の長い髪の毛を掌に乗せ息を吹き掛けると……。 弘徽殿の憎しみを露になり女人が、宣耀殿の女御の長くて美しい髪を思いきり引っ張る。 寝ていた宣耀殿の女御はびっくりして声をあげた。
/302ページ

最初のコメントを投稿しよう!

326人が本棚に入れています
本棚に追加