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「はい、それと裏で千夜も関係があるのでしょうね。」
と、神妙に話す晴明。
「千夜が誰かの生き霊を母上に取りつくように仕向けていると……。」
話を聞いていた、源博雅が口を挟む。
「だが、宣耀殿様に取りついて、なんの特に……。」
「博雅様。それです…芙蓉の御方は人に恨まれる方ではないが一人や二人はいるだろう。」
「弘徽殿とか……。」
「晴明、人に聞かれたりしたらどうする。」
「人払いには注意をしていますし、博雅様が気にやむ必要はありません。」
「今夜は来ますか。」
と、愛良宮は脇息にもたれていた体勢を整えながら晴明に聞く。
「わかりませんが……。千夜は頭が宜しい。今夜は宿直(とのい。泊まり込みの事)を致します」
「そうですか。」
と、愛良宮は手にしていた扇をパシッと鳴らす。
酒と肴を手にした女房達が何処に待機していたのか判らないが、安倍晴明と源博雅の前に置き立ち去る。
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