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宣耀殿の女御は度々、生き霊に悩まされていたが……。
安倍晴明の呪で、女御の命を繋いでいた。
最愛の芙蓉の御方が生き霊に悩まれている事を、今上も一緒に悩んでいるものの……。
一切、表に出さず政務に取り組んでいた。
ただ、宣耀殿の女御は、美貌そのままにやつれていったが……娘には一切、表に出さず明るく振る舞う。
その宣耀殿の女御の健気さと儚さに、今上帝はますます手放す事が出来ない。
その事が、弘徽殿の女御はさらに激しく冷たい心を持たせる。
「弘徽殿の女御様、お久し振りでございます。」
と、前触れもなしに、あの美公達が語りかける。
女御は返事をせず…扇をパシッと鳴らして、御付きの女房達を下らせる。
「ほんに久しい事。」
と、短めに話す。
「最近では、宣耀殿に主上は通いつめとお聴きし、弘徽殿様はお寂しいと思い参りました。」
と、優しく囁く美公達。
弘徽殿の女御はその言葉を聞き、激しく話始める。
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