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千夜は、芙蓉の御方に対して命を取らずに……。少しずつ精気を取っていた。
死ぬ事も許さず、まさに生き地獄の中にあったが芙蓉の御方は、辛さを出す事はなく気丈に振る舞う。
「安倍晴明、母上はどのように言っていたか。」
「勿体ぶらずに言えよ、晴明。」
「生き霊騒ぎではありません。既に、宣耀殿様に千夜から精気を抜かれておられる。」
と、晴明は逼迫(ひっぱく)した声で愛良宮に伝える。
「な、何、母上はいつも通りに過ごされているが……。精気を……。」
と、御簾の前に愛良宮は少し冷静さを欠いていた。
「しかし、誰かが千夜と契約をしたのかもしれません。」
「契約を。」
「そうです」
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