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階段を下りきるとその先には幾つかの扉がしつらえてあり、ここがこの奇妙な住まいの居住スペースであることを無言のうちに、しかし雄弁に物語っていた。
その幾つかあるうちの一つ、突き当りの壁にしつらえられた、ほかのものとは比べ物にならないほど重厚なつくりの扉が、その前に立つ人物を威圧するかのように立てられていた。
その扉をくぐるとその向こう側は広く重々しい雰囲気が漂っており、訪問者を硬く拒むような趣さえあった。
部屋の壁には、いくつもの漢字が草書体で書かれており、その一つ一つに”星”という字が含まれている。読み解いてゆくと、その数は天魁星から地狗星まで108にもおよんだ。
その108のうち、ほとんどの星の下に”炎””水””氷”といった自然現象から、”剣””弓”といった武具の名前、果ては”幻””恐””生物””薬”といったものまで多岐に渡っていた。
その文字をよくよく観察してみると、その全てが書き込まれたものというよりは自然に岩壁に浮き上がってきたような、そんな様子の文字だった。
扉の正面には奇妙な曼荼羅が描かれており、その曼荼羅の中心には女性とも男性とも取れる人物が磔にされている姿があった。本来の曼荼羅ならば、そこに描かれているものは仏たちの姿である。しかし、この曼荼羅に描かれているのは仏でも神でもなく、甲冑を纏い武器を持って磔にされた人物を貫こうとしている人々の姿だった。
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