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じゃぁ、なぜなじめなかったのかって? さっき僕は、学校全体で見ればって言ったよね。確かに排他的な学校というものにはめぐり合うことは無かった。でも、その中のクラスというものはまったくべつだ。クラスに入ると、転校生というものはまず見世物にされる。そしてそれからは質問攻めだ。大体転校した先で聞かれることは決まっている。「前の学校ではどんな部活に入っていた?」とか、「好きな女の子のタイプは?」とか、こんなものは序の口でもっと回答に困るような質問までされたことがある。 そして、自分たちの興味がなくなるとポイッ、だ。自分たちの興味の合った、昔からの友達ってやつとだけ話しをするようになる。ごく少数の例外を残して…。 そう、僕は転校ばかりして育ってきたんだ。親の仕事の都合ってこともあるけれど、もうこれで5回目だ。僕だって今年から高校3年生になるのだから、一人暮らしさせてくれてもいいと思うのだが、父さんがそれを許してくれなかった。 僕にだって受験とかあるんだから、父親ならもう少し考えてくれてもいいと思うんだけど…。 僕の家には母さんがいない。昔事故だか何だかで死んでしまったらしいのだけれど、僕がまだ物心つく前の話なのでまったく覚えていない。 そう、僕の家庭環境はいわゆる父子家庭というやつだ。それでもって父親が転勤の多い仕事についているものだからやたらと引越しが多い。おかげでいろいろなところに行くことができた。けれど、そんなことは僕にとってはどうでもいい話だ。
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