君を守る為に

2

おや？大分話がそれてしまったね。何の話だったっけ?

そうそう、そんな学校があまり好きじゃない僕だけど、この街と学校への登下校は好きになれそうだ。
だって、こんなに桜並木が綺麗なのだから。桜の綺麗な街に嫌な所は無いからね。これは僕の持論。そして、僕の一番好きな花、桜の咲く春は、僕が一番好きな季節だ。

あ、そうだ、自己紹介がまだだったね。僕の名前は逆境守倫(さかざかい　もりみち)。ちょっと前に、ここＡ県祭花(さいか)市に引っ越してきたばかりの高校3年生だ。
身長は168cm位で、体重は62kg。やせているわけでもなく、太っているわけでもない、極めて普通の体格だ。
勉強は中の上くらい。好きな科目は日本地理、これは父親の転勤が影響している。
体を動かすことも嫌いではない。というか僕の父方の家系が古流武術を代々受け継いでいて、幼い頃からその鍛錬をさせられていた。父親のほうが継ぐ気が無いために祖父はなんとしても僕に跡を継がせるつもりらしい。
困った話だ。
とにもかくにもそんなこんなでスポーツは大好きだ。

次にこの町、ここ祭花市は、二つの大きな市に挟まれた小さな市だ。市の東側をかすめるようにしてＹ川が流れている。僕は今年からここに引っ越してきて、新たに私立の祭花高校に通うことになった。
ここに引っ越してきたのはちょうど1週間ほど前になる。それから引越しの片付けもそのままに、入学手続きやら何やらでやたらと学校に行くことが多かった。そのおかげか、学校までの道のりはもう覚えてしまっていた。