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『朝』
目が覚めると、私は鳥になっていた。
そっと鏡を覗き込むと、空よりも澄んだ青い翼が、朝の光をキラキラと反射して、不快な程の美しさに思わず目が眩んだ。
黄色い嘴から零れる囀りは、まるで歌っている様で、自らの美声につい聞き入ってしまう。
これはきっと、神様からの贈り物だ。私はそう確信した。
毎晩酒に酔っては暴力を振るう父と、怯える私を守ろうともせず、ただ泣き喚くだけの母。
そんな両親との牢獄の様な生活からも、これでようやく解放される。自由になるのだ。
私は歓喜に舞う様に誇らしげに翼を広げると、窓から外へ飛び出した。
刹那、黒い影が私を覆う。はっと思った次の瞬間、鋭い鉤爪に喉と胸を切り裂かれた。
そう……この世に“自由”など、始めから存在しないのだ。
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