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『恋する病』
「うぅ、風邪っぽい……」
私がそう言うと和也は心配そうに、
「マジで?!」
と、私の額に自分の額を当ててきた。
「んー、熱は無さそうだけど、もしかしたら引き始めかも……」
「……顔、近くないッスか?」
和也の顔が直ぐ目の前にある所為か、胸がドキドキした。その熱が伝わり、彼の頬もほんのり赤みを帯びてくる。
すると、
「……人にうつせば早く治るらしいよ」
と、和也がぶっきらぼうに切り出した。
私はコクンと頷く。そして、そっと唇を重ねた。幼く、ぎこちない、初めてのキス……。
「あ、後は薬呑んで寝てれば治るよ!」
照れ隠しに言葉を捲し立てる和也に向かって、私はまたコクンと頷き、「ふふふ」と笑った。
たまには“仮病”もいいかもしれない。
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