25人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は曲がり角まで突っ走る。
ーーー誰にもぶつからない、
‘はず’だった。
彼女が飛び出して来なければ。
?「きゃあっ!」
『うわっ!』
曲がり角を出た先に彼女が同じように走ってきたため僕らはぶつかり、
後ろに倒れそうになる彼女を左腕で支えたけれど。
僕の走る速度が速過ぎたせいか、
勢いのついたまま彼女を庇うようにして地面に転がった。
?「んっ!?」
『……!?』
身体を丸めて受け身をとったのが不味かったのか。
気付けば、見知らぬ彼女と唇が重なっていた。
二人の視線が絡み合う。
そんな彼女の瞳が綺麗で………。
唇を貪るように食(は)んでいた。
(甘い馨り……コロン?)
?「あ……や……ンっ……」
喘ぐ声も好ましい。
僕は彼女を抱きしめたまま身体を起こし、耳元で囁いた。
『悪いけど、このまま僕と来て。
勘だけど…君も誰かに追われてたよね?』
返事の代わりに彼女が頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!